サイエンスアゴラ2013
「富山でツクル・ツナガル、カガクの輪」
:出展内容:
富山のカガクってなんだろう?富山のジオってなにがある?
みんなで富山の魅力を探してみたいと思います。
コンピュータを使ったバーチャル分子など楽しめる展示もあるよ。
- 会 場:日本科学未来館 1階
- 日 時:11月9日(土)・10日(日) / 10:00-17:00
- 主 催:サイエンスカフェとやま
- 共 催:黒部・立山ジオパーク研究会 (12/9に立山黒部ジオパーク推進協議会に移行)
- 協 力:東京大学宇宙線研究所附属神岡宇宙素粒子研究施設、工房メカニズモ、富山県立大学工学部知能デザイン工学科、富山大学大学院理工学研究部 春木研究室
- その他:
- サイエンスアゴラ出展プログラム (当企画)
- サイエンスアゴラ出展プログラム冊子(PDF 3.3 MB)
- 第5回東京国際科学フェスティバル実行委員会のブース(日本科学未来館3階)内で開催されるサイエンスカフェポスター展にも当カフェが登場予定です。
後記:
今回が初参加のサイエンスアゴラ。黒部・立山ジオパーク研究会との共催ということもあり、ブースは2つのジオパーク企画(島原半島さんと下仁田さん)と並んでの出展でした。出展企画のテーマは富山の魅力を再発見すること。これまでの活動紹介や活動内容に関連する展示に囲まれたスペースで、富山の魅力を参加者とともに考えてみました。集計した内容は今後このサイトに公表する予定です。
ブースの紹介
会場に足を運んでいただけなかった方のためにも、ブースの中身を紹介します。内容は次のように大きく3つの部分から構成しました。
活動紹介
活動紹介はこのサイトで改めてするまでもありませんが、ジオパーク研究会の活動も含めているので、展示に使ったポスターを掲載しておきます。
会場ではこれまでに行ったサイエンスカフェのポスター(ゲストのサイン入り)や各回の写真も掲載しました。また、日本科学未来館3階ではサイエンスカフェポスター展も開催されており、そちらでも当カフェはじめ、富山で開催されたサイエンスカフェのポスターを掲載していただきました。
活動紹介のターゲットはサイエンスコミュニケーションに関わる方々。他の出展者さんをはじめ多くの方々に足を止めていただき、貴重な意見交換ができました。話題提供の提案やゲストの紹介など、ありがたいお話もいただきました。こちらからもできるだけ出向くようにはしましたが、ほとんどの時間をブースに張り付いていたためなかなか出ていけませんでした。「後で行くよ~」と言ったきりになった皆様ゴメンナサイ…。 m(__)m
サイエンスカフェで取り上げたテーマに関連する展示
一般の入場者向けに、これまでの活動で取り上げてきたテーマからピックアップした展示を用意しました。
XMASS
目玉は第1回のサイエンスカフェで協力していただいた東大神岡施設から提供していただいたXMASS(エックスマス)。XMASSは岐阜県と富山県の県境にある神岡鉱山跡に作られた地下実験施設の1つで、電磁波ではとらえることのできない物質であるダークマター(暗黒物質)の直接観測を担う装置です。これまで、サイエンスカフェとやまが協力した第70回サイエンスカフェにいがたや富山市科学博物館のサイエンスカフェでもダークマターをテーマに開催しました。
今回はその装置に使われている光センサー(写真右)とセンサーを収めているホルダーの試作品(同左)を展示しました。どちらもなかなかお目にかかることのできない貴重なものです。
こちらがXMASSの光センサー。ちょっと難しい表現ですが「光電子増倍管」と呼ばれるもので、光を電子に変え、さらにその電子を次々に増幅させて電気的な信号として出力する装置です。「コウデンシゾウバイカン」と呼ぶのは舌をかみそうなので(!)、普通は英語の略称からPMT(ピー・エム・ティー)と呼んでいます。
電磁波で観測できないダークマターをとらえるためになぜ光センサーかというと、ダークマターが原子核に衝突したとき、ごくまれに原子核をはじき出して、物質によっては光を出すことがあるからなのです。XMASSの内部は液体キセノンで満たされていますが、これはキセノンの発光量が多いため。ちなみに、XMASSの名前にある「X」はキセノン(xenon)のX。残念ながらサンタさんとは関係ないようです(笑)。
そしてこちらが、PMTを収めるホルダーです(実物は銅でできていますが、こちらはアルミ製の試作品)。検出器はこれが立体的に60個組み合わさった多面体で、5つの三角形が正十二面体を覆ったような多面体(五方十二面体)になっています。ちなみに、最初の写真でケースの上に乗っている丸いものは五方十二面体を説明するためのもの。
ホルダーには6角形の穴がたくさんあいていて、この穴に1つずつ、計642本のPMTが入ります。蜂の巣のような構造になっているのは、できるだけ多くのPMTを詰めて並べ、より多くの光を受けるため。
微弱な光をとらえるための技術はそれだけではありません。ダークマターが反応して出てくる光信号は非常に弱く稀なので、検出器に放射線を出すような不純物が多いとノイズに紛れて信号を探せません。そのため、PMTやホルダーを含め、XMASSに用いられている部品は極限まで不純物を抑えて作られています。
神岡の地下にはノーベル賞にもつながったカミオカンデやその後継であるスーパーカミオカンデ、カミオカンデの跡地に作られたカムランドなど、さまざまな施設があります。神岡は岐阜県の町ですが、カミオカンデとカムランドはちょうど県境に位置しているほか、神岡にいる研究者の多くは富山市に住んでいるとのこと。富山はこのような最先端の研究を支える街でもあったのです!
XMASSはしばらく改修中でしたが、ついに今月再稼働の予定。タイムリーな展示となりました。会場の日本科学未来館の常設展にはスーパーカミオカンデの展示もあるので、こちらも必見。その他、カブリIPMUのブースなどでもダークマターがテーマになっていました。
レオナルド・ダ・ヴィンチの機構模型
一方、子供たちに人気だったのはこちら。レオナルド・ダ・ヴィンチの手稿から復元された機構模型です。この模型は富山県立近代美術館で開催した第5回のサイエンスカフェでも展示した軸受(ベアリング)(写真手前)と糸巻き機(同奥)です。
500年も前にこんな仕組みを考えて記録に残していたことを知り、「すごい」と驚く子が大勢いました。2日目にはちょうど向かいのブースに、保持器のないベアリングを開発された会社のブースが出展されていたので、比べていた参加者もいました。
レオナルド・ダ・ヴィンチとはゆかりのなさそうな富山ですが、小矢部市にダ・ビンチテクノミュージアムがあったり、富山県立大学でダ・ヴィンチ祭が開催されていたり、レオナルド・ダ・ヴィンチにあやかった取り組みが多い地域なのです。
分子
サイエンスアゴラには分子がテーマとなっている展示もたくさんありましたが、ここでも分子の展示を行いました。こちらは富山県立大学ダ・ヴィンチ祭2013に出展した展示企画の一部です。
分子のAR(拡張現実)とモル・タロウの分子模型で、分子を触ってみました。人気があったのはダントツでフラーレンでした。
ところで、フラーレンの形。実はXMASSと関係があるのです。フラーレンの模型はサッカーボールと同じ切頂二十面体で表してあります。この形をよく見ると五角形と六角形が並んでいることがわかります。そしてXMASSの五方十二面体にも五角形と六角形が見えてきます。切頂二十面体と五方十二面体は「双対(そうつい)」という関係で、頂点と面を置き換えることによって対応しています。さらに五方十二面体は「ミケランジェロの多面体」とも呼ばれるのですが、これはレオナルド・ダ・ヴィンチが描いた五方十二面体の絵をもとにミケランジェロが五方十二面体の装飾品を作ったことに由来しているのだそうです。特に考えたわけではなかったのですが、3つの展示物が偶然にも「五方十二面体」というキーワードでつながっていました。
今回の企画の趣旨には後で紹介するように、活動の「ツナガリ」を紹介し、富山から「ツナガル」キーワードを使って地域の魅力を探すという内容が含まれているので、こんなところにもツナガリができていたことに準備をしていたスタッフも驚きました。会場では急遽準備した切頂二十面体と五方十二面体のクラフト台紙も配布しました。
富山の魅力探し
ブースの目玉はいろいろありますが、出展者としてのメインはこちら。上に書いたような展示でカガクな雰囲気を作ったなか、参加者には富山から連想するキーワードを出してもらい、富山の魅力を一緒に探りました。結果は後日こちらのページでもご案内し、富山における今後の取り組みの中で反映させていきたいと考えています。
舞台はブース奥の巻ダンボール。「富山」から思いつくキーワードを付箋に書いて貼ってもらいました。朝はまっさら。参加者と一緒に作る展示です。
一番多かったのはホタルイカ。科学好きの参加者にとってイカと言えば函館かと思っていたので、ちょっと安心(笑)。
かわいい絵を書いてくれた方も大勢いました。ライチョウってこんなんだっけ?
絵といえばはやのんさん。やっぱり鉄分多めです(笑)。
富山がご出身という方も。
さらに田中耕一さんの先輩も!
富山に行ったこともない小さなお子さんなど、「富山」からは何も思いつかない方もいるので、すでに出ているキーワードにシールで「いいね!」してもらったり、さらにそこから連想するキーワードを次々に書いてもらったりもしました。
もっといろいろ書ける方にはこちら。シートに連想するキーワードを次々と書いてもらいました。
集まったキーワードは後日集計してこのサイトで公開予定です。お楽しみに。
- 下記出展企画と参加者の誘導等をさせていただきました
- サイエンスアゴラ2013関連の報告記事など(全体に関するもの)
- 「お台場で、科学のイベント「サイエンスアゴラ」が始まりました。」(2013-11-09) – FNNニュース (FNNnewsCH – YouTube)
- 「〈トピックス〉入場者5800人、大賑わいのサイエンスアゴラ」 (2013-11-11)- サイエンスポータル編集ニュース (via マイナビニュース)
- 「サイエンスアゴラ2013 つぶやきまとめ (随時更新)」 by MISAwMISA
- 「科学に触れ 科学と社会を語り合う「サイエンスアゴラ2013」開催!」 JST Sciece Channel (YouTube)
- 「サイエンスアゴラ2013開催報告書」が公表されました。(2014-02-04)
- 関連情報・続報など
- 来年のサイエンスアゴラ2014は11月8日(土)・9日(日)に開催される予定です。
- 「TISFブース「広がりゆく科学のひろばの担い手たち-各地の科学祭をつなぐ-」inアゴラ」 – さかさパンダサイエンスプロダクション (ポスター展で当カフェも紹介)
- facebookで集計結果速報を発表しました。
- 黒部・立山ジオパーク研究会の資料作りにサイエンスアゴラで集めたキーワードも活用されています。